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ブランドデザインが
乗り越えようとする足跡

東京の足元に流れる灰色のシューズとは
都会に暮らす人々のグレーな曖昧に現る
ありのままの姿勢の鏡像である。

東京の足元に流れる灰色のシューズとは都会に暮らす人々のグレーな曖昧に現れるありのままの姿勢の鏡像である。

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新しさが常識を超越するファッションシーンにあって他とのちがいをもたらせる為の
何かひとつを推すとしたらシューズは間違いのないファクターのひとつである。
中でも、現代の究極のアンサーのひとつがスニーカーだ。

 

カリフォルニアのストリートのキッズたちが自分の物として手に入れる事の出来る
唯一つ最高のステイタスがキックスである。
ゲットーでは、彼らは自分の宝物をピカピカに磨きあげ大切に扱う。
私の友人のほとんど全てのキッズは、イングリッシュを除いてだが
シューズを汚れたままには放っておかないのだ。
彼らはシューズの綺麗さが何を体現しているのかをよく理解している。
ジョン・ロブであろうとチャーチであろうと、AIR MAXであろうとも関係ないのだ。
その時私には、彼らの真っ白のナイキは純真さのシンボルにも映った。

 

今やスニーカーは土を踏むことはない。
スポーツやカジュアルさから切り取られた完全なスタイルを構築した。
くたびれたレザーシューズよりもエレガントで、世界の流れの慧眼に優れた
インテリジェンスを支えるものこそ、大人のスニーカーである。

 

ディオールのタイトなジャケットから力を抜くのに使うための外しのアイテムではない、
キメにかかるスニーカーが存在する。

 

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ブランドスニーカー

http://www.lanvin.com

 

LANVINが2013年に発表したクロストレーナーは現行のスニーカーデザインの中でも異彩をはなっていた。
ハイブランドにあって百戦錬磨の技術と経験を持つクリエイティブチームにして、
製作に猛反対としたものの、デザイナーであるルカ・オッセンドライバーの押しの一手で商品化したといわれている。
オッセンドライバーが製作時のプロセスとして、「今市場になく私のほしいもの」を形にしたとしているだけあって、
9つの素材を組み合わせた質感・配色・縫製と工法まで隙がない。
すべてのパーツを細部まで縫い上げてつなげるということをシューズメーカーは普通しない。
ところが、このトレーナーは細かい配色パーツまでハイブリッドすることによって構成している。
ブランドが製作に反対したというのもこれが理由のプライスに因るものであろう。
とはいえ、その成果は素晴らしいフォルムをもたらせた。

 

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ブランドスニーカー

http://www.lanvin.com

 

決してジョギングのためではないトレーニングシューズは、走りたいのなら1300を履けと言っている。
私はこのランバンを履いてオフィスに向かう方が気持ちいい。

 

スポーツメーカーによるブランドデザインもある。
2011-2012秋冬シーズンのパリに現れたウッドパネルのジムは
スニーカーの価値がモードを超越するところまで突きつめた。
山本耀司はアディダスとタッグを組んで静謐さのモードを披露した。

 

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ブランドスニーカー

www.firstview.com

 

ブランドアイコンである3本ストライプを豊和に織り込んだギャバジンにのせて自由な表情をのぞかせたのである。
フロントファスナーのジャージージャケットは、スポーツがシーンではなく精神のものであることを体現した。
ショーにつきもののBGMは無音である。
足元のアディダススニーカーが奏でるウッディな足跡と喝采だけが会場に響いた。

 

ヨウジとアディダスの協奏は3シーズン続いた後、Y-3となって発達してきた。
見せるのはモードそのものといっていいだろう。
Yohji Yamamoto自身のブランドのカットよりキレるクリエーションを感じるのは私だけではないと思いたい。
10周年にあたる2011年に発表された「Pacer」に、
未だ先端を走るデザイナーのタレントと未来が見えるのも意思にほかならない。

 

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ブランドスニーカー

http://store.y-3.com

 

純真はモダン的な生活のどのシーンにも当てはまる。
意に反して、東京の足元に流れる灰色のシューズとは、
鏡に映しだされた都会に暮らす人々のグレーな曖昧に現れるありのままの姿勢ではないだろうか。

 

ハイブランドのデザイナーが投げかけてくるのは今のことである。
確実にその時に手に入れないと失われる価値である。
大人のすばらしさも時時の流れのつかみ方によるものであって同じ時間を共有するにも、独占するにも
自分自身の姿勢と現在の価値と時間の概念を仕込んでおかなければならない。
ブランドスニーカーのフットプリントは、履く人の意思の重さによって濃さがかわるのである。

 

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ブランドスニーカー

https://www.tumblr.com

 

新しい価値が次々と乗り越えられる、また新しいデザインに出会える最高の幸運に