twit btn

新生エルメスが繼承した
パリのエスプリの系譜

マルジェラ出身デザイナーによって
新しい息吹を感じさせてくれた新生
エルメスへの期待と「彼」の残像

マルジェラ出身デザイナーによって新しい息吹を感じさせてくれた新生エルメスへの期待と「彼」の残像

twit btn

以前、エルメスのクリエーティブディレクターを務めていたクリストフ・ルメールが表現していた
パリのエスプリについての記事もあったが、そのルミエールの後任として同メゾンの
アーティスティック・ディレクターに就任したのは、マルタン・マルジェラを始めとして、セリーヌや
ザ・ローなどでの実績を積んだ    ナデージュ・ヴァンへ・シビュルスキーだ。

先日発表された2015awコレクションにおいて彼女が手がけたファーストコレクションになったが、
個人的にパリのベスト3に入るくらい素晴らしいショーだったと思う。

 

hermes

hermes

L/R) http://showstudio.com/
hermes

hermes

L/R) http://showstudio.com/

 

エルメスならではの上質な素材使いと、シンプルながらエッジの効いたカッティングから生み出される
絶妙なシルエットは、彼女が創る新しいエルメスを巧みに表現していた。

そして、何と言っても最後に登場した彼女自身のスタイルから、今後エルメスで表現されていくであろう
世界の一端を感じることが出来た。

 

hermes

hermes

http://en.vogue.fr/

 

このところ、マルタン・マルジェラの周囲が騒がしい。ジョン・ガリアーノのクリエイティブ・ディレクター
就任に始まり、マルジェラ出身者の他のメゾンでの活躍、そしてドキュメンタリーの公開など話題に事欠かない。

WWDのインタビューで、マルジェラ出身者の共通点について、「ファッションの向こう側にあるものを意識しながら
デザインすること」を学び、それによって「哲学的で社会的な」クリエーションができるのだと記されていたが、
ファッションの向こう側を意識することは、マルタン・マルジェラから多くの教え子に継承されているのだろう。

シグニチャーであるメゾン・マルタン・マルジェラ(今はメゾン・マルジェラ)の先鋭的な作品が記憶に
残りやすい為か、あまり語られることはないが、マルタン・マルジェラは1997年〜2003年にかけて
エルメスのデザイナーを務めていた。

彼が手がけていた頃のエルメスも非常に魅力的だった。エルメスというメゾンが表現すべき世界に
マルタン・マルジェラの世界が融合され、シックな色使いと素材感、ほのかに感じるアヴァンギャルドさは
時を経ても古くなることのない強い普遍性を持ったピースだったように感じる。

 

hermes

hermes

L/R) http://garmentozine.files.wordpress.com/ 
hermes

hermes

L/R) http://garmentozine.files.wordpress.com/

 

今回発表された新生エルメスはそれに通ずるところがあるのでは無いだろうか。

シンプルであることは容易いことではない。
いや、シンプルでありながら良いことは容易いことではないと言い換えるべきか。

現在のファッションシーンの変容ぶりを考えると、エルメスのショーは大きな反響を呼ぶものではないだろうが、
エルメスはフランス・パリの古き良きエスプリを将来にわたり継承していくという宿命を背負い、淡々とそれを
表現していく。

クリストファー・ルミエールからナデージュ・ヴァンへ・シビュルスキー に渡されたエスプリのバトンは、
マルジェラのエッセンスを取り戻しながら、現代を感じる新さを獲得していくことだろう。

疲弊しているファッションという箱舟の中にあって、新しさ(多くは新しく見えるだけ)とは異なる価値として
誠実さを感じるナデージュ・ヴァンへ・シビュルスキーによるエルメスはしばらく私の目を楽しませてくれる。