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かたちにならない品質
日本人の知らない正体
世界が見る『日本製』とは

『Japan』×『Quality』は∞ではない。
意味を見失う前に知っておきたい
世界から求められる『日本製』の技術。

メード・イン・ジャパンのタグに入り込む頭でっかちの甘いワナ。日本の原資を食い荒らす流行の崩壊

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100年着られる服を持ちたいと思う。
実際には100という年月を超えることは簡単ではないとしても、
何世代ものファッションのムーヴメントを受け継いで、シーンを跨いで、

それでも生き残る服のことを。

 

国内だけではなく、今や世界中に拡がりを見せているメード・イン・ジャパンのファッション。
国家体制で日本のモノつくりを支援し、国内の生産地へと回帰しようとする大手メーカーの動き、
等々と言うと聞こえは良いけれど、それもこれも偏に地元で脈々と培ってきた
現場の人々の執心の御陰であるという事実を奪い上げてはいけないのだろう。
『日本製』が今、熱い。と言ってはいけないのではないか。
それは今までもそこにあったし、いつでも熱い糸が紡がれている。

 

『J∞QUALITY』商標を打たれたファッション製品をお持ちだろうか。
日本ファッション産業協会による、日本繊維産業連盟の協力のもと、
商品認証事業で発足した戦略委員会が世界に発信するモデル構築の必要性を打上げて、
経済産業省が『クールジャパン戦略』の一環として支援する。
で、知られる安心・安全・コンプライアンス企業認証と縫製企業認証のことである。

 

何か一つのワードを切り替えたならば、
1950年代の原子力発電の文面とまったく同一になるであろう格式の高さに腰を抜かしてしまうが、
お役人が集まって貪るほど美味しい業界が残されていたのか、
それともそこまでしなければならない程にアパレルメーカーに仕事がないのだろうか。

スポーツ大会の計画運営すらまともに取り決められないセンスの方々に、
何がクールなのかを求めるのは酷だということを十分に理解できたところで、
本物の頑張っている日本の技術の幹を書類で片付けてもらいたくはないと願う。

何もファッションビジネスをはじめることが悪いのではない。
ファッションを何かしらの箱に詰め込むことが胸糞悪いのである。
先に挙げた認証機関のリーディングチームは錚々たるファッションのプロフェッショナルたちだろう。
当然、敬ってしかるべき面々へ敬意を持たなくてはならない。
それでもどこにでもある話しのように、
今、売れそうなものが『メード・イン・ジャパン』というレッテルだと考えている首脳あたりが、
生き残った『日本製』を囃し立てて売り切ろうとしている様にさえ見えてしまう。

 

 

岡山と聞けば、多くの人がデニムやジーンズの優れた生産地であることを既に見知っている。
名前を聞けばファクトリーブランドの幾つかも続けて挙げられるかもしれない。
ほんのちょっと前までは業界の人間が知っているくらいの
小さな工場やブランドが軒を連ねる古くからのデニムの町は、
町と人、人と人、人と技術の強いつながりをもって日本国内だけでなく、
世界へその名を広げようと模索している。
〈『岡山デニム』は世界の岡山デニムへ〉の言葉の通り、
そのプレミアムジーンズが世界中のファッションブランドから注目されているという。

 

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https://www.wwdjapan.com

 

イタリアのカジュアルブランド『DIESEL』は以前から評判の高かった細身のジーンズ『BUSTER』を、
技術と品質の高い岡山デニムを採用して復刻させることが決まっている。
生地生産からユーズド加工までのすべての工程を日本で行うのは
現地法人であるディーゼルジャパンが持ちかけたプロジェクトの様だが、
これはまだほんの入り口にたっただけであって、
その真価はもっともっと大きなシーンを作り上げるものだと期待することができる。

 

実はデニムに限らずとも、ディオールもプラダも、
誰もが知っているような名商品の素材が日本のものだということを
納得できるだけの日本品質が、いたるところに在る。
ちょっと考えてみると、『iPhone』の裏蓋のように、
町工場から世界へ羽ばたく商品があることは簡単に理解することができるだろう。

 

日本という国が持つ個性、人を思いやり内省すること、自然と隣り合って暮してきた、
素材を活かしたモノつくりの技術は他の国には決して多くない資質である。
ファッションの世界では、着る人のことを考えて、使い方を学び、
その先にある美しさを考えることができるプロダクトに日本的特性が大いに現れるのではないだろうか。
ヨーロッパの模倣をしていて善い時間はもう既に終わっている。
ここはひとつ、そろそろ製造現場の力が牽引する時代が来ているといっていいのだと思い込みたい。
一製品あたりに10万円でパテント付与される
『メード・イン・ジャパン』のタグにはあまり、意味を求めない方がいいのではないか。

 

アメリカのみならず世界的にアウトドアブランドを代表し、環境問題に真正面から取り組む
21世紀型リーディングカンパニーの一つである『Patagonia』は2015年からデニムラインの強化に取り組む。
1996年の黎明期からコットン製品のすべてをオーガニックに切り替えたパタゴニアでは、
近年、『クリーネストライン』や『フットプリント・クロニクル』、『フェアトレード・サーティファイド』といった、
環境と人材資源のために企業としての責任の指針を取りまとめ、世界を目線にした取り組みを推進してきた。
そして2015年のデニムラインで、従来のオーガニックコットンを使用することだけでは満足できなかった
染色技術を見つめなおす試みをスタートさせた。

 

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http://www.patagonia.com

 

結果的に従来の合成インディゴ染料によるデニム生地と比べて、水の使用量を80パーセント、
エネルギーの使用量を30パーセント、二酸化炭素の排出量を25パーセント削減する成果を得たパタゴニアは、
第一のプライオリティである社会的、環境的な深刻な問題を回避することで
自社の価値をまた大きく前進させることに成功した。
そして、そのパタゴニアが信頼する染色の技術のひとつが日本の天然藍による染色技法である。

 

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http://www.thecleanestline.com

 

デニムという親しみやすいアイテムを見回してみても、同じ日本の技術・品質・製品を見ているはずなのに、
それぞれの価値観を踏まえた上でより良いものへ発展させることに多様の差が生まれてくる。

ところが、日本にある多くの大手メーカー、あるいはその従業員は
本当の意味での『日本製』というレーベルを認識していないのではないか。
消費者が細かいところを突いてこないことを良い訳に
陳腐な素材、どこにでもあるデザイン、どうしようもない素材が
百貨店の隣同士で並べられる様子は何とも云い難い悲しさがある。
確かに、売り上げのことを考えればお隣りの売れてるデザインを持ってくれば同じように売れるだろう。
雑誌の切り抜きスナップを握り締めることが本職のデザイナーがどれだけ多いのか、
日本のファッションの元気のなさの下降する放物線の向こうに、そうした本物の意思が失われている理由がある。

 

一時代、選ばれた人だけが楽しむことが出来たファッションも、
現代ではいくつもある消費行動の選択肢の中から、人々に選んでもらわなくてはならない立場である。
気高くあり続けることも良いかもしれないが、いつしか選ばれなくなってしまった日本のファッションのステータスは、
それぞれ実力のある背景に支えられて回帰しなければならない。
日本メーカーが見捨てた価値を海外の企業が浚っていくことを、本当に喜んでいいのかは今のところまだわからない。
ただ、世界中に響くモノが私たちのすぐそばで作られていることを知ることからはじようと思うのだが。

 

根底からファッションを立て直すためには何よりも優先されて、日本人に着てもらうことが不可欠である。
それも日本全体を見るより先ず、それぞれの地域を見る必要がある。
どれだけ善いモノであってもローカルに愛されないのは偽者だと言わざるを得ない。
目の前の人のことが理解できないのに、海の向こうの知らない人々のために善い仕事が出来るとは思えないからであり、
ファッションは常に、自己崩壊の危機を背負って機能する世界であり続けるからである。
物質的には一人一人が少しずつ豊かになってきた今日の日本。
生活に必要なだけの衣類は、ほとんど皆が揃えていることだろう。

余っているとも言える。

そこへ以って新しい服を繰り返して買ってもらうには、
デザインを含めた品質はもちろん、そのファッションに意味付けをする必要があるだろう。
一過性に流されてしまいそうなメリットタグに係ることではないと感じながら、
それが何なのかはこれから琢磨して切り開くべき問題なのだということだけはわかっている。