THE NORTH FACE×Spiberがはじめる『QMONOS』 | Epokal エポカル

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世界初クモ糸繊維
QMONOSがつかむ
新たな未来の力

しなやかで強く、美しい。
それもローエネルギーで生成できる
『蜘蛛の糸』は世界を救えるのか。

8minutes

世界初クモ糸繊維
QMONOSがつかむ
新たな未来の力

しなやかで強く、美しい。
それもローエネルギーで生成できる
『蜘蛛の糸』は世界を救えるのか。

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不可能で馬鹿げた夢
世界中が諦めた
人工タンパク質の出す答

最良のスペックを手に入れる時、
人が進む使い道の先には
戦争しかないのだろうか。

地球中にある原資の中から、最も環境に最適化したものはなんだろうか。
例えば、アリは6,000キログラムもの荷を持ち上げることができるし、
ハイジャンプで有名なバッタはたったの300ステップでエヴェレストを制服することができる。

けれど、それらはすべて人間の尺度に変換された能力で、人間の側から見た世界である。
スケールの壁は人が勝手に持ち出したり、引っ込めたりするが、
もしもバッタが180センチメートルの体長を持っているとするなら
葉っぱから葉っぱへ飛び移ることはないのではないだろうか。
アリンコはエヴェレストに登るという意義を見つけることができるだろうか。
反対に言うと、人間の目には映ることのない世界を生きているために人間にはない能力を持つことができている。

 

人にはそのかわり、人だけが持つ長い眼を以って時間を見ることができる。
そして時間という軸を持っているから、一定の尺度を共有することができるし、
あるいは美しさを感じる能力もこの概念に頼る部分もあるのかもしれない。これはひとつの価値である。

今日、世界に残された限りある原資を尊ぶところからはじめようと思う。

 

2013年、日本の或るベンチャー企業が或る一本の糸を手繰り寄せることに成功した。
『QMONOS』と名付けられたこの人口繊維が今後切り拓くであろう可能性を
これから私たちは目の当たりにしていくのだ。

Spiber 『QMONOS』

kandata

kandata

https://www.spiber.jp

 

世界中が注力しながらコスト面や培養速度などの課題から量産化に手の届かなかった「クモ糸」繊維は、
人類が使いこなせるローエネルギーでサステナブルな素材の確立と
新しい時代の到来を意味しているのではないだろうか。

 

エネルギーや環境といった解決不能に陥りそうな社会問題が慢性的に蓄積されていく中で、
原料を石油に頼らない、環境負荷の極めて少ない次世代素材クモの糸
『QMONOS』に期待される価値は計り知れない重さがある。

クモの糸という夢の繊維の研究は、実は数十年前から世界中で取り組まれてきたものである。
とは言え、縄張り意識の強い蜘蛛は、
昔ながらのタンパク質繊維の代表格である絹を生成する蚕のように飼育できるものではなかった。
山積みにされた技術的な課題を乗り越えられなかった
NASAやヨーロッパ列強の研究者でさえ、とっくの昔に諦めていたと噂されていた。

 

ところが、クモ糸繊維『QMONOS』の量産化に成功しただけで満足しないSpiber社は
新世代素材の実用化に向けて、実際の工業ラインを稼動させての共同開発を始動させた。
様々な分野での期待が高まる中、実用化に向けた第一歩に
アウトドアアパレルというフィールドの合理性と親和性を求め、ゴールドウィンを引き込んだ。
『THE NORTH FACE』ブランドとともに、新時代を切り拓こうという。

 

THE NORTH FACE 『THE MOON PARKA』

kandata

kandata

http://www.goldwin.co.jp/tnf/special/spiber/

 

THE NORTH FACEブランドの代名詞でもあるANTARCTICA PARKAをベースに
新世代タンパク質素材QMONOSを採用したアウタージャケットのプロトタイプを発表。
世界で初めての人工タンパク質素材が使われたこのジャケットのプロトタイピングのために、
Spiber社が保有するライブラリから、タンパク質の選定にはじまり、
紡糸・撚り・織り・縫製といった試作が繰り返された。
従来通りの工程を踏襲してはいるが、世界初の工業ラインのためには、
最適条件を検討するために膨大な数の試験と努力が必要とされことは容易に想像することができる。
クモの糸を実用化することはもはや不可能なことではなくなっていることが実証されたのである。
すでに工業素材の歴史が大きく変革されはじめている今、
社会全体へと広がっていくクモの糸はどのように世界を見ているのだろうか。

 

Darwin’s Bark Spider

kandata

kandata

http://news.nationalgeographic.com

 

2010年にダーウィンズ・バーク・スパイダーという新種の蜘蛛がマダガスカル東部のトアマシナで発見された。
生物最強を誇るとされる蜘蛛の糸を吐き出すこの蜘蛛は
25メートルもある川幅を跨いで巣を作ることが確認されている。

 

生物はそれぞれの生き方や暮し方といった環境に適応するための能力を培っている。
人は環境の方を自分の方へ摺り寄せることで見かけの上での最適化を図ってきた。
蟻のように力強く物を運ぶ自動車をつくり、
バッタのよりも空高く飛ぶジェット機を生み出した。
そして今、ダーウィン・バーク・スパイダーの吐き出す糸を人工的に作り出すことが出来るようになると、
今度はそのジェット機を捕まえて墜落すことさえ可能になると考えられている。

 

世界最大の蜘蛛の巣をつくる糸は鋼鉄よりも丈夫であり、
現時点で実用化されている中での最高の強度・耐熱性を持つケブラー繊維、
各国の軍が採用する防弾チョッキの素材として用いられているそれよりも
10倍以上もの強度を生み出せると言われている。
それも、このタンパク質から生成されるクモ糸繊維は破壊されたとしても
瞬時に分子構造が再構築されるために伸縮にも優れているとされる。

確かに、こうしたタフネスなメカニズムを軍事経済の雄がほうって置くはずはない。
NASAは諦めても米軍は既に装備に採用する計画が準備されているというのである。

 

しかし、思うことがある。こうした優れた強度性能の飽くなき向上は戦場にしか進む道がないのだろうか?

 

世界に先駆けて実現した『QMONOS』という
圧倒的なイノベーションとスペックの高尚さはすぐに理解することが出来る。
暮しのなかの身のまわりで実際に体感することも、そう遠い未来ではないはずである。
自動車産業や医療に関わる場面よりも先んじてファッションへの浸透を展望したのは、
社会全体へのそれの凝縮された質が、ファッションの中にあるからなのではないだろうか。
‘それ’とは勿論、「価値」のことであり、
むしろ『THE NORTH FACE』という看板よりも、Spiber社が掲げた

「ものづくりだけでなく社会全体を大きく変えていく。私たちには強い意志と決意がある。」

という、ここにも意志の偉大さが行為を支えているのだと感じることができる。

 

従来のアウトドアギアに用いられる素材には、石油に頼りきった化学繊維が当然の様に採用されてきた。
天然素材であるはずのコットンの悪名高さはもう誰もが知るところとなったが、
要するに、山へ登るためのジャケットは山を切り崩して作られ、
海へ入るためのスーツは海を汚染して作られる。
キャンプを温温と過ごすために作られた石油を燃やし続けて、
気がつけば、アウトドアからその道を炎々と焼き尽くすことになるのかもしれない。

 

石油に頼らないローエネルギーで作ることが出来る新素材の用を保つための努力は、
技術革新だけで持続できるものだとは思わない。
ファッションが医療や重工業のような大きな経済活動域よりも勝ることがあるのだとすれば、
それは物事に「価値」を生み出すことなのではないだろうか。
5年後、新たに石油を燃焼させなくてもアウトドアジャケットを作れることが当たり前になっているのかもしれない。
10年後、化学繊維や農薬に対する拒否が世界共通の意識になっているかもしれない。
ファッションがファッションを超えて社会に貢献できる最高の領域は
そうやって世界の景色をかえられるということである。
サステナビリティの本質は、人人の感じ方や心象によって支えられなければならない。

 

『QMONOS』が日本という国から生まれたのは偶然ではないのではないか。
現代社会に誇る科学技術の高さより、ずっと昔から自然と共生しながら暮らしてきた、
戦争権を持たない私たちは悪魔的な利用方法よりも、
もっとハピネスを与えられる価値を手にすることができるのだと信じていいと思う。

 

『QMONOS』が天から降ろした蜘蛛の糸は、カンダタを救うことが出来るだろうか−

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