東京センチュリーに生きるジェネレーションの背くらべ

menu

BLUE 冷静

ミッドセンチュリー
世代を超える名作の価値
東京マインドリセット

時代を共有する人々のモダニズム。
21世紀が今よりもっと21世紀だった頃、
ミッドセンチュリーは今日という夢を見る。

5minutes

ミッドセンチュリー
世代を超える名作の価値
東京マインドリセット

時代を共有する人々のモダニズム。
21世紀が今よりもっと21世紀だった頃、
ミッドセンチュリーは今日という夢を見る。

5minutes

READ LATER

同じものを見て
同じ時間を過ごして
同じ価値を植えつける

チャールズ&レイ・イームズ
ミッドセンチュリーに求める
21世紀型東京マインド

外へ出かけて行くために着るファッションが大きな苦境に立たされている今、
それとは対照的に、自宅や、あるいはオフィスや作業場で
豊かに時間を過ごすためのハウスインテリアが好調子だといわれている。
社会風土的に広がる閉塞感で大まとめにされがちな日本の都市に生きる人々にとって、
冷たく厳しい風の吹きすさむ毎日を送りながら自分という個をより良く見せようとするよりも、
自分の思うままのペースで自分だけのスペースでゆっくりと過ごしたいという気持ちもわからないではない。

と、誰もが共通に持っている不安がある。

 

CHARLES AND RAY EAMES,HERMAN MILLER SHOWROOM 1949

neo generations

neo generations

https://www.studyblue.com

 

そうは言っても、今ここでチャールズ&レイ・イームズやジョージ・ネルソンといった
ミッドセンチュリーの名作家具をどうこうしようという話しではない。
世界大戦から立ち上がったばかり、1950~60年代グッドオールドアメリカンのステイタスマインドを、
自由でエネルギーに溢れるジェネレーションの背景にあるものに触れてみたい。

 

ただ、ファッションの攻撃範囲(あるいは守備範囲)を思いっきり広げてみた時、
例えば、インテリアに捧げた尊い時間の価値もまたファッションの一つなのであることは確かであり、
日々を暮すことのつながりという人生スケールのライフスタイルファッションで日常生活を眺めてみると、
例えば暮している街や遊びに行く場所、ほっと落ち着こうとする公園やいつもの帰り道、
食べ物や聴くものの指向、仕事についてさえも、
自分だけの人生だと思っていたものがまったくほかの人と同じかたちをしていることがある。

 

長い間会わないでいたまま、つながりの薄くなっていた昔からの友人、
それも小学校の同級生やとなり組の仲間ほど、十数年ぶりに会ったことの記憶の違和感よりも、
お互いが似たようなライフスタイルを抱えていることに気がつき、不思議なセンスを覚える。
あの時、同じ場所で同じ遊びを、同じ時間を体感した少年たちの、
それは偶然が本当に偶然のものだとは思わない。

 

いくら自由が叫ばれていても同じ年代の同じ町のともだちは、
仲が良くなるくらいだからクラスかクラブなのか、元々の気も良かったのだろう。
そして同じ環境の上で同じ大人たちに囲まれていたはずである。

それは広い意味で読み、深いまなざしで見つめれば、僕たちの個は簡単に吹き飛ばされるという、
ジェネレーションとは、ほとんど同じ人間なのかもしれない。
つまり、同じ時間を同じ場所で過ごした共通意識はとても強いものである。

 

そうしたジェネレーションの中の背くらべについて言えば、
1950年代アメリカのミッドセンチュリーという奇跡の時代の人々には、
暗夜を突破するためのインスピレーションが自然と溢れていたのかもしれない。

 

CHARLES AND RAY EAMES,CHAIR BASES

neo generations

neo generations

http://www.eamesoffice.com/

 

10数年ほど以前から目黒通りや代官山のショーウィンドウに恭しく飾られ、
10何万ものプライスタグをネームプレート代わりに奉られた『シェルチェア』を代表に、
‘グッドデザインを安価に誰にでも’のコンセプトを掲げた、
イームズ夫妻が描いた思いは、いくらか飛躍しすぎるシーンが日本にもあった。
けれど、日本でのファッション的シンボルが、それまでの外向的に発信される何かであったところから、
リビングチェアというごく内々のアイコンに向けられた瞬間でもあった。
例えば着るための衣服の様に、瞬発的なレースで華美を表現することにくらべて、
インテリアや建築そのものの視野は遙かに長いスパンを見つめている。
建築やインテリアといった領域を同じようにファッションへ思い入れるのであれば、
より大きなスケールを見つけることができたという意味でもとても大きな価値があった。

 

We worked very hard at … enjoying ourselves. – CHARLES EAMES

neo generations

neo generations

http://www.eamesoffice.com/

 

どうして『イームズ』を筆頭にミッドセンチュリーの名品は、
21世紀の現在でもこんなにも皆に愛されるものなのだろうか。
ミッドセンチュリーというモダニズムの黄金期であった1950年代、
アメリカは世界を動かす最大最強のジェネレーションの真只中にあった。
それまでの大恐慌、世界大戦と長く続いた暗黒の時代から羽ばたいた人々の生活は、
自分たちのハピネスに直結するステイタスシンボル、日々のくらしかたを表現するものを求めたのである。
未来の豊かな暮しを望む明るい空気、それにイームズの関わったプライウッド技術のように
戦時下に培養された先端技術の民事へ持ち込まれたこと、
世界経済の半分を担うとまで言われた圧倒的な経済力、
それに何よりも、暗い底から底抜けに明るい方へ立ち向かおうとする
能天気な未来志向がミッドセンチュリーとモダニズムの絶頂の背景にはあった。

 

HERMAN MILLER, PLYWOOD LOUNGE CHAIR LCW CATALOG 1950

neo generations

neo generations

https://www.1stdibs.com

 

物質的にも知識としても史上最も豊かな現代にあって、
どのようにこれからのインスピレーションを受け取っていけるのだろうか。

まず物質主義に狂いまくった、何万通りのアレンジメント式社会主義の中から、
特異に突き抜けたスペシャリティを新たに見つけ出すことはほとんど不可能なことだと考えられる。
そして発信する側もそれをほぼ予感している。
だからこそ本域で取り組むメーカーはストイックに突き詰め、
それを受け取る方も大いなる覚悟を据えている。

これから生む側も受け取り波及させる側も、それぞれの価値とストーリーのクロスオーバーが、
これまでのジェネレーションのせくらべから飛び出て、
世界へ乗り越える可能性をもっていることに目を向け始めるだろう。

上手く伝えることの重要性はかつてないほどまでに高まり、
それを享受してからの広がりを知ることがより重要になってくる。
今や僕たちの琴線に触れるきっかけはどこに落ちているかは知れないが、
どこかには確かに在るその感性をシリアスに生きることは、
考えたまま置き去りにされている社会的現実性よりもずっと貴重でリアルな経験である。
そのストーリーを体感することがジェネレーションの差異に近づける道なのではないか。

 

ミッドセンチュリーとアメリカに真っ暗な時代があり、快活な暮らしを抑えつけられた人々にとっての
明るい未来へのステップのステイタスシンボルに、モダニズムの建築やインテリアがあった。
幸福を表現する手法としての大きなアメリカンドリームはGMの自動車に乗ってぶっ飛んでいた。
ほうっておいても膨大なエネルギーがアメリカというワールドを駆け抜けたのである。

 

その国とはちがい、今の、この日本はがんじがらめの自由そのものを背負い込んでいる。
暗い戦争と煤くさい経済成長も、バブリシャスな華やかさも知らないジェネレーションにとって、
与えられた価値観ほど完璧でつまらないものはない。
生まれながらグレーの空で育てられていたら、
それを打ち破るためのエネルギーを持っていなければならないということに、いつ気が付けるだろう。
同じ箱のなかで仲良く暮らしている分にはいいけれど、もしもそこに退屈してしまったらどうしたらいい。
1,700万人ジェネレーションにとってのオモシロミ=インスピレーションの行き交う場所は、
それぞれの個の分より偉大なものだと信じて見てみたい。

こう考えることは不謹慎な態度なのだろうか?

 

仄暗い裏道からカルチャーが起こるかもしれない。
何を大切にするのかという善悪の価値観が根元から生え変わろうとしている時に、
ジェネレーションにとってのスペシャライズされるべきは、
自分たちで手をとって掴もうとするインスピレーションなのではないだろうか。
明るい未来かどうかは計れないが、ゴールデンエイジと呼ばれ得る永遠に輝く世界の開口は、
今まさにここに落ちているはずなのである。

 

Take your pleasures seriously. – CHARLES EAMES

neo generations

neo generations

http://www.eamesoffice.com/
READ LATER

EDITORS UTOPIAの「WANT」ボタンを
押したプロジェクトが表示されます。

EDITORS UTOPIAへ

※この情報はCookieで保存されています。
※SNS連携・記事のシェア等はされません。

    「READ LATER」ボタンを
    押した記事が表示されます。

    ※この情報はCookieで保存されています。
    ※SNS連携・記事のシェア等はされません。