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ファッション世界の憂鬱
John GallianoとMMMの
食べ合わせは如何に?

常に話題先行のファッションビジネス
MMMとJohn Gallianoという対極の
存在が創り出すものとは何なのか

遂にファッション界へと復帰を果たしたJohn Gallianoは匿名希望のカリスマ集団Maison Martin Margielaにもたらすのは崩壊の始まりか、新世界の創造か

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先週、ファッション業界に衝撃が走った。
衝撃といっても、ファッションが好きな者だけにしかその衝撃の意味が分からないであろう、トピックスだ。
情報とは往々にしてそのようなものだが、ことファッションに関してはその分かる者と分からない者の
ギャップは大きく、分かったところで生活に大した影響はない。
それでも、そのニュースが持つ衝撃の大きさがわかってしまう自分はこうして記事に書かずには
いられないのだ。

今回のニュースの主役はファッションデザイナーJohn Galliano。
そして、舞台として用意されたのはMaison Martin Margiela
このニュースがMaison Martin Margielaから正式に発表される前から、噂がまことしやかに囁かれていた
のであるが、火のない所に煙は立たないどころではなく放火上等の炎上商法が日常的に行われている
ファッション業界は、煙が立つところには必ず火はあり、皆が気づくことで更に燃え上がる。

 

それはさておき、今回の主役であるJohn Gallianoはまさかの方法でChristian Diorのデザイナーを解任され、
その事件については現在も係争中である。
まさかの方法とは、Galliano目線で言えばパリの飲食店で泥酔させられ、その勢いでユダヤ人に対する
差別的な発言を誘導され、録音され、暴露された。
「首を切りたいが、大恩人の首を一方的に切るのは忍びないのでスキャンダルをでっち上げ
それを理由にして解雇しよう」というDiorにハメられたというのが、ファッション業界内で定着した
見方とされているが、真偽のほどは不明だ。
彼が追われたChristian Diorのクリエーティブディレクターの座には、後任としてRaf Simons
就任したことは個人的に喜ばしいことだが、そうした騒動があった後だけに素直に喜べない部分が
あったことも確かだ。
John Gallianoというデザイナーは、それまで低迷していたChristian Diorのオートクチュールを
クリエーションだけでなく商業的にも復活させるという至難の業をやってのけた才人であり、
Christian Diorへの貢献は計り知れない。しかしながら、その影響力の大きさゆえ、変化を求める
ブランド側と次第に軋轢が生まれていった。
Dior Hommeで空前のムーブメントを作った現Yve Saint Laurent(Saint Laurent Paris)の
クリエーティブディレクターであるHedi Slimaneは、Dior Hommeを去る前Diorのレディースも
担当したいという希望を持っていたが、John Gallianoが君臨していたため折り合いがつかずに
Hediがブランドを去る一因になったと言われている。
そんなJohn Gallianoも時代の変化から取り残され、次第に天然記念物のような扱いを受けるように
なり、上述の反ユダヤ発言を受けて突然にブランドを追われた。
クリエーティブディレクターの劇的な交代劇とその憶測は、ファッション業界の定番のトピックスだが
この解任劇は、その経緯から非常にセンセーショナルに伝えられた。
ファッション業界でも幅を利かせるユダヤ人たちを敵に回してはかなわないと、解任後のGallianoは
表立った活動を行うことも出来ない状態であったが、時間が経つにつれてアルコール依存症の治療も
終えたGallianoはOscar de la Rentaのアトリエに招かれ徐々に復帰への準備を進め、ロシアの香水
ブランドのクリエーティブディレクターに就任したというニュースが流れた矢先、今回のMartin Margielaの
クリエーティブディレクター就任の一方が流れた。

 

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http://gqjapan.jp/

 

一方は目立ちたがり屋でドラマチックなデザインで一時代を気づいた典型的なファッションデザイナー、
一方は匿名であることを基本理念とし、ファッションのメインストリームを否定することで名を馳せたメゾン。
両極端といっても過言ではない二つの存在がどういった融合を見せるのか多くのファッション好きが
注目していることだろう。

 

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http://www.wwd.com/

 

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L) http://www.openingceremony.us/ R) http://thedillychic.com/

 

容易に共通点が見つからないこの二つの存在について、
「Margielaはベルギー人、Gallianoはジブラルタル生まれ、イギリス育ちのラテン系。明らかに異なるタイプの
2人のデザイナーのつながりで思いつくのは、2000年のChristian Dior のショーでGallianoが町のホームレスから
インスピレーションを得たコレクションでパリのクチュール界を震撼させた時だ。手仕事で作り出したほつれた糸や
破けた服は見る人によって詩的なヴィジョンとも侮蔑とも受け取られた。」と、かのSuzy Menkes女史は指摘する。

 

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http://thecreativebent.com/

 

しかし、この決定を主導したとされているのがMaison Martin Margielaの親会社とも言えるディーゼルの
レンツォ・ロッソであることを考えると、表向きは話題作りのためにGallianoを利用したとのではないかと
勘ぐらずにはいられない。

 

彼はMaison Martin Margielaを商業主義的に変化させ、創業者であるMartin Margielaがブランドを去る
大きな理由がそこにあったと言われている。
また、カリスマ創業者が去ったあとも尚、一向に衰えることもなく、むしろクリエーションの質が向上している
のではないかとさえ感じさせるMaisonの優秀なスタッフをコントロールすることは非常に難しいという趣旨の
発言をしていることから、John Gallianoという核弾頭ミサイルを打ち込むことで盤石のメゾンに穴をあけ、
それを足掛かりにブランドを掌握しやすくしたいのではないかというのは考え過ぎだろうか。

 

通常、今回のニュースの主役はGallianoのファッション界へカムバックということになる。
Gallianoが築いてきた輝かしいキャリアとそれを可能にした才能を鑑みれば、そのことに誰も異論はないだろう。
その際Maison Martin Marigielaはあくまでも舞台装置に過ぎないのだが、見方を変えるとカリスマ創業者が
“いーち抜けた”とばかりにMaisonを後にしたあとも決して変わることはなかった匿名のクリエーティブ集団にも
遂に変化の波がやってきたと見ることも出来る。

 

いちファッションマニアとして、Maison Martin Margielaという世界最高峰の舞台でJohn Galllianoがどのような
“償いのクリエーション”としてどんな夢の世界を見せてくれるのかに期待する一方で、Maison Martin Margielaという
ファッション業界では唯一といっても過言ではない未来への可能性を秘めた匿名組織の行方に一抹の不安を
覚えてしまうのは私だろうか。
いずれにせよ、Martin Margielaが遺した最大の遺産としての組織とJohn Gallianoはどのような創造を行うのか
その行く末に注目するとともに、共倒れというオチだけは勘弁してほしいと願う。

 

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http://cdn.thedishh.com/