エディ・スリマンがサンローランに復帰した本当の理由とは | Epokal

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真理を知ったはずの彼が
復帰した本当の理由とは
一体何なのか?

真理にたどり着いたものは別の世界に
連れ去られてしまうというフィクションを
ファッションの世界に置き換えると

3minutes

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復帰した本当の理由とは
一体何なのか?

真理にたどり着いたものは別の世界に
連れ去られてしまうというフィクションを
ファッションの世界に置き換えると

先日訪れた一風変わった美術館で、館長であるその人は絵画の存在しない額だけが飾られ壁を指さして私たちに語った。

「これも1つの作品です。世界の真理に気づいてしまった画家はその絵と共にこの世から消え去ってしまうのです」と。

ある画家のアトリエを再現したというコンセプトにそって創られた美術館の想像の世界の話であるが、そんなこともあるのかもしれないと考えてしまった。

 

hedi

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http://www.a-i-t.net/

 

ファッションの世界においても、ある種の真理を悟りその世界から自ら消えた者も少なくない。

ヘルムート・ラングやマルタン・マルジェラなどは共にアートの世界へと旅立っていったかと思えば、

アレクサンダー・マックイーンのようにパラレル・ワールドへと消えて行くものなど様々だが、ファッションの世界に長くとどまっていることはある意味健全ではないように感じる。

先ほどの館長は、ピカソなどは歴史に名前を残すことを選択し、その真理に気づいていながらも100%表現しなかった画家は世界から消えることなく、ぎりぎりの所で表現をし続けるのだとも話し

ていたが、ファッションの世界ではそちらの方が多いということになる。

 

hedi

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http://studiovoice.jp/

 

ファッションにはそれ相応の歴史が存在するが、特にメンズファッションにおいてはエディ・スリマンによるディオールオムの前後で時代を区分することが出来る。

それまで存在していながら、メジャーになることはなかった少年が持つ無垢な純粋性にフォーカスしたクリエーションは、スーパータイトなプロポーションを際立たせさらにリアリティを加味したエディのクリエーションはあらゆるフェーズで他の追随を許さなかった。

メンズのトレンドがレディースにも影響するというそれまでなかった現象も、彼の存在が大きかったのではないかと思う。

そのようにディオールオムを大成功に導きながら、一度はファッションの表舞台から姿を消したエディ・スリマンはファッションに代わる表現手段手段として写真という方法を選び、そこでも高い評価を得ていった。

もちろん、ディオールオムのクリエーティブディレクターであった時からほぼすべての広告を自ら撮影し、それ以外にも様々なアーティストとの交流を写真により表現していたのだが、彼が撮る写真には今や広告にまで成り下がってしまったファッションの世界ではない、別の世界が映っているように感じた。

 

hedi

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http://www.hedislimane.com/
hedi

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http://www.hedislimane.com/

 

そんな彼がディオールオムを去るというニュースが流れたとき、一つの時代が終わりそして始まる音がした。

ファッションという窮屈極まりない世界から解き放たれ、新しい世界を希求するエディ・スリマンという人間の鼓動。

 

 

hedi

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http://liberatormagazine.com/

 

hedi

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http://www.selectism.com/

 

子供のころから表現することに対する興味が強く、本を読み、孤独を感じていたというエディは11歳の時に、ごく自然に写真を創作の手段として選んだのだという。

エディは写真に強く惹かれ、初めてのカメラとして機械式のニコンを誕生祝いのお金で買った。それから彼は日記をつけるような感覚で写真を撮り始めていく。

その頃のことを回想して、「僕は写真と身体的なつながりを感じていた」と語っている。

そして、撮った写真で覚えている最初のものは、倉庫に積んであった木材の写真で非常に抽象的な写真だったというエディは、それ以来何も変わっていないとも話している。

 

彼がディオールオムで確立した新しいメンズスタイルは、具体的でありながらも強い抽象性を感じた。

そして、私もそこに惹かれたのであるが、これが精度の高いファッションの持つ力であると考えている。

エディ・スリマンが持つ高い抽象性と自らが築いたコミュニティーから生み出されるイメージをクリスチャン・ディオールという世界に冠たるメゾンが持つ世界最高峰の技術で具現化された衣服は、まさに「作品」と呼ぶにふさわしいものであった。

そして、その自ら作り上げたユートピアを脱出し、アートの世界に向かった彼の写真表現はそれとしても一流の表現として享受されるべきものであった。

 

 

hedi

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http://iconolo.gy/
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http://www.hedislimane.com/

 

いくら服のディテールを知っていたとしても、いくら完璧なイメージを持っていたとしても、ましてや高い志を持っていたとしても、それだけでは「ファッション」は生まれない。

全てが高い次元で交差した時のみ生み出される幸福な瞬間。その刹那の連続がファッションなのだ。

真理を普遍的なもの、物事の本質であると考えれば、少なくともエディ・スリマンによるディオールオムは永遠の普遍性を持っているだろう。

本質を理解し、感じることによって創られたものが持つ普遍性。個人的にサンローランへのエディの復帰はあまり歓迎するべき事態ではなかった。

写真やそのほかの表現でこの時代を切り取り、そこから間接的にファッションへ関わっていて欲しかったという思いが強いからだ。

写真に撮られることを悪夢だとまで言うエディの見た目からは想像が難しいが、エディと親交の深いフェニックスのギタリストであるブランコによると、エディは面白くて優れたユーモアのセンスの持ち主だという。

そんなことを聞くと、エディがサンローランに復帰し現在のクリエーションを提示していること自体が、ファッションシステムの本質を識ってしまった彼の強烈なブラック・ユーモアなのではないかと思ってしまう。

世界の真理に気づいた彼が100%に達することのないようギリギリのところで遊んでいるのかもしれない。

そして、次にファッションを離れる時は本当にファッションを諦めたときなのではないだろうか。

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