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テクノロジーとの融合が
ファッションにもたらす
真のイノヴェーション

ラグジュアリーやモードといった
言葉の再定義こそテクノロジーが
もたらすイノヴェーションの始まり

バーバリーのテクノロジー導入を例にこれからのファッションとテクノロジーの関係性を考える。私たちが望むファッションの未来とは何か?

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モード評論家である平川武治氏が主宰するLe lpi会を受けて前回に引き続いて
これからのファッションについて考えてみようと思う。前回も少し触れたが、
私が参加した会にはゲストとして日本版Wiredの編集長である若林恵氏が参加された。

 

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http://www.wwdjapan.com/

 

ご存知の方も多いかもしれないがWired誌は未来をつくるIDEAS + INNOVATIONSをコンセプトに最新の
テクノロジーニュース、気になる人物インタビュー、ガジェット情報、サイエンスの最前線など、
「未来のトレンド」を発信している季刊誌であり、webではUS/UK/ITALIA版WIREDからの翻訳記事を掲載している。

 

その中でも、最近刊行された「fashion decoded」はファッション業界でも少なからず話題になった。
平川氏もこの号を知人から教えられたことを機にwired誌の存在を知ったと話しており、テクノロジーや
イノヴェーションから最も遠くに位置していると考えられているファッション業界も自分たちの世界が周りから
遅れをとっていることに薄々気づいているのではないかということを感じさせた。

 

ファッションにおけるテクノロジーによるイノヴェーションが最も顕著なのはやはりアメリカだろう。
クラウドファンディングによるファッションレーベルの立ち上げや販売額は日本などの比ではないし、
明らかに生活に根付こうとしているのだと感じる。

 

いわゆるモードブランドとしてファッション業界で最もイノヴェーティブであると言われているのが、
トレンチコートの代名詞でもあるバーバリーである。コレクションラインであるバーバリープローサムは、
ダナ・キャランやトム・フォードのグッチなどで経験を積んだクリストファー・ベイリーが
クリエーティブディレクターに就任以降、素晴らしいコレクションを発表してきた。

 

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http://www.moluxury.com.au/

 

その彼が2010年から「Runway to Reality」というプロジェクトを開始して以来デジタルテクノロジーの積極的な

活用を行うようになり、ランウェイのストリーミング配信やそこからの直接購入できるシステムの導入を進めてきた。

 

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http://1.bp.blogspot.com/

 

このプロジェクトを進めて行った際に大きな壁として立ちふさがったのが、コレクションを発表してから生産までに
6か月かかるという業界の慣例であったという。考えれば当然と言えば当然だが、彼は「世界中でショーを観て
くれているオーディエンスにとって、業界のしきたりなど関係なく、ファッションの世界でのみ通用しているタイム
スケジュールは彼らにとっては無意味で、商品の到着までに半年もかかるというのは、業界では当たり前で
あっても顧客にとっては奇妙なくらいに長い」として、結果的に7週間まで短縮した。

 

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http://www.herworldplus.com/

 

業界のスケジュールをある程度把握した者であれば、これがいかに凄いことかわかる。
ましてやバーバリー程のビッグメゾンでこれを実現したことは称賛に値する。
このシステムの実現の過程では多くの人がデジタル空間におけるリスクを語り、否定的なな意見も多かったという。
しかし、現代におけるデジタル環境を観ないフリをしたところで、それがなくなるわけではないことから、こうした
見方にはあまり意味がないと語っている。
実際、自分がファッション業界の中にいる時にもアナログであることが良いとする暗黙の了解の様な空気を
感じる事は多く、デジタルによるイノヴェーションを否定しても何も始まらないと考える。
重要なのはすべてを一方に変えてしまうことなのではないかと考える。

 

二者択一的な思考ではなく、よい部分を活かしあうことで新たな可能性が生まれてくるのではないだろうか。
ファッションにおけるあらゆる側面でデジタル技術に語られるとき、基本的にアナログの技術を否定するような
ネガティブな雰囲気を感じる事が多いが、変わることが結果的に破滅に繋がることは往々にしてある。

 

先日、訪問したとある機屋さんで話を聞いていた時もそのことを感じた。
今でも昔ながらのシャトル織機で生地を織りあげているその会社は、大量生産の波に乗らずに変わらなかった
ことで周りが廃業していく中でも結果的に生き残っている。
変わることだけが必ずしも良いわけではないし、変われないことは致命的な結果に繋がることもある。
バーバリーの話に戻るが、ベイリーはバーバリー以外の好きなブランドはアップルだと話し、誠実さや真正さと
いったことを理由に挙げているが、ファッションのデジタル化によって起こりうる変化について
「現在よりも“透明性”が要求されてくることだろう」と話している。

この「透明性」には、倫理観や道徳性なども含まれてくるだろうということは平川氏からも指摘されたが、
ベイリーもその点を踏まえたうえで倫理的であることは、企業を財政的にも豊かになることが出来ると話し、
バーバリーを「モダン・ラグジュアリーブランド」であるとしている。それは、ラグジュアリーという言葉は
時代と共に変化し、再定義されるべきでありバーバリーはそれが可能であるという自負があるからに他ならないだろう。

 

2009年から開始されたart of trenchというプロジェクトは、バーバリーが主催している世界中から寄せられる
個性的なスタイルを記録するクリエイティブプロジェクトで、一般人からの投稿写真、
そしてバーバリーと
著名アーティストによるコラボレーションによって展開されており、
消費者たる私たちがブランドを身近に感じるキッカケをつくることを意図している。

 

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http://sumptuary.files.wordpress.com/

 

2011年に北京で行われたデジタル・イヴェントではリアルとバーチャルの融合を試みた演出で観客を驚かせるなど、
ファッションにテクノロジーを融合させるべく、次々と新たな試みを行っている。

 

 

デジタル・テクノロジーによってファッションにおいても透明化が図られることによって、
消費者が選択する際の大きな価値に繋がることは間違いないだろう。
前回も触れたエシカルファッションなどはそれに該当するだろうが、それだけに関わらずクローズドな世界を
構築しているファッションが他の分野との領域を交わらせることで、様々な選択肢が生まれ、それが価値を持つことに
よって新たなラグジュアリーやモードが生まれてくることになるだろう。

 

透明性が進展していくにつけて、ベイリーが語っていたようにラグジュアリーやモードといった言葉の再定義が
行われることによって何を「贅沢」や「カッコいい」と思うようになるか、今後の変化が楽しみだと思ってしまう。
そのような変化はiPhoneの登場が携帯電話の業界を全く別の分野にしてしまったように、現在考えらている
カテゴリーではないところからファッションブランドが誕生するかもしれないのだ。

 

そして、epokalはその可能性を十分に秘めていると考えている。Utopiaにおいて製作の過程もオープンにし、伝統的な
ファッションや終わったものされているモードにも敬意を払ったクリエーションを行い、
それを直接お客様に届けることで価値を共有するのが私たちが望む新たなファッションの姿なのである。