twit btn

アーキグラムが創造した
実現しない未来の建築は
後世に何を残したのか?

SFやポップ・カルチャーなどを包含し
卓越したヴィジュアルセンスと発想で
建築の常識を打ち破ったアーキグラム

SFやポップ・カルチャーを巧みに取り込み、実験的でコンセプチュアルなドローイングだけで建築を変えたアーキグラムの活動は、今でも未来を示し続ける。

twit btn

実際に施工されることのない建築を建築と呼ぶことが出来るだろうか?

先日、John Wooが描いたスター・ウォーズのキャラクターがモードブランドを
着用したイラストが持つファッション性についてご紹介し、二次元、つまり実現して
いないものが実現した3次元に勝るということもあり、それも含めてファッションと
呼べるのではないかとうことに言及した。

建築においても、施工されることを前提としないものが存在する。
冒頭の疑問について、最良の回答を提示してくれるのはARCHIGRAM(アーキグラム)
かもしれない。

ARCHIGRAMは、1960年代から1970年代初頭にかけて活躍したイギリスの
建築家グループの名称であり、彼らが出版していた雑誌のタイトルでもある。

 

archigram

archigram

http://www.natsume-books.com/

 

ウォーレン・チョーク、ピーター・クック、デニス・クロンプトン、デヴィッド・グリーン、
ロン・ヘロン、マイケル・ウェブの6人の建築家によって構成されていたアーキグラムは、
詩と建築、デザインなどの分野を自在に横断し、消費社会における新しい建築や
都市の姿を、当時のSFコミックスや広告などのイメージを引用しながら、ポップな
グラフィックやコラージュで表現した。

 

archigram

archigram

http://www.remixtheschoolhouse.com/
archigram

archigram

http://www.tuppenceforthebirds.com/

 

巨大な都市に昆虫のような脚がついており、居住者が希望する場所へ移動する
「ウォーキング・シティ」や、着脱可能な空間ユニットを集合住居やオフィス、店舗等
多様な用途にあわせて組み立てた「プラグイン・シティ」など、彼らの奇抜なアイデアは
『アーキグラム』誌上での実験に留まり、実際に施工されたものはありません。

しかし建築界のビートルズとも呼ばれる前衛的かつユーモアにあふれた姿勢は
レム・コールハウスやザハ・ハディッドなどの建築家だけでなく、ポール・スミスなどの
デザイナーにも影響を与えました。

 

archigram

archigram

http://www.lib21.org/
archigram

archigram

https://s-media-cache-ak0.pinimg.com/

 

コラージュやポップ・カルチャーの影響やその手法からは建築界のウォーホルとも
言えるかもしれない。

アーキグラムの功績は建築家の表現手段とは実際の建物を建てることによってのみならず、
紙の上でもできるということをわれわれに示したということだろう。
また、むしろ、紙の上に描かれたドローイングのほうがよりアイデアを鮮明に表現できることを
明らかにしたとも言える。

このような手法は彼らより以前から行われていたが、実験的でコンセプチャル、そして詩的な
ドローイングは世界の建築家たちの関心を惹き、さらに、積極的に大衆誌の広告や漫画、
コラージュなどを取り入れたことが、ポップ・カルチャーが認められ始めた60年代の潮流に
乗り人びとの共感を得たのである。

アーキグラムの活動期間は上記の期間に、1969年モンテカルロ開発コンペを勝ちとり、
実務設計をしていた1974年までを加えた1961年~1974年とするのが、一般的な見解であるが、
アーキグラムの活動は流動的であり、いつ始まっていつ終わったをはっきり示すことはできない。

また、メンバーも前述の6人を基本とするが、プロジェクトにより、そのうちの何人かが参加しなかったり、
逆に一時的に,他の建築家や関係者が加わることもしばしばあった。

彼ら自身が言うように「育った環境や性格が違う友人達が集まって議論する場」であり、
このような「あいまいな集団」であったということがアーキグラムの本質を理解する上で
最も大切なことである。

 

archigram

archigram

https://s-media-cache-ak0.pinimg.com/
archigram

archigram

http://www.abiuro.com/

 

同時代に日本において、メタボリズムを主張していた黒川紀章は、アーキグラムとメタボリズムの
違いについて、次のように語っている。

「社会のあり方を構想するという意味でのイメージを拒否する、アーキグラムのイメージに対して、
僕らのメタボリズムのイメージは、現実の地球上に未来という種をまいていくものである。
言葉を替えて言えば、チームXやメタボリズムは未来に絶望して現実に絶望していない。
ところが、アーキグラムは現実に絶望したために、未来を現実化しようとしていると言えるだろう。
彼らの描いている未来は、未来を現実化し得るものとして対象化している。
メタボリズムの僕らは、そのような未来を持っていない。
むしろ、未来に絶望しているから、現実を未来化しようとする。」

現実に絶望したために、未来を現実かしようとしたアーキグラムが起こしたムーブメントは、
今、ファッションの現状に絶望しかけている僕たちに、これからとるべき指針を示してくれている
のではないだろうか。