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リチャード・プリンスが
炎上という状況を通して
社会に問う創作の姿勢

「写真は死んだ」と吐き捨てた芸術家
がInstagramを利用して創作した作品
から受け取るメッセージとは?

「写真は死んだ」と吐き捨てた芸術家がInstagramを利用して創作した作品から受け取るメッセージとは?私たちが守るべきは明文化されたルールだけなのか。

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少し前にRichard Princeの新作個展「New Portraits」の展示が日本でも
開催されていたが、皆さんはご覧になっただろうか。

そこで発表された新作の『New Portraits』は、赤の他人のインスタグラム
画像をキャンバスに転写し、同写真のコメント欄にRichard Princeによって
手が加えられた作品だ。

 

richard prince

http://assets.coolhunting.com/

 

インスタグラムという比較的新しいソーシャル・メディアに目をつけて
自分の作品に取り込み、それらがある種の問題提起になってしまうという
この状況こそがRichard Princeが狙ったことであるだろうし、いかにも
彼らしい作品だ。

 

 

richard prince

http://assets.coolhunting.com/

 

Richard Princeの作品といえば、SONIC YOUTHのアルバム『SONIC NURSE』の
ジャケットで馴染みがある方もいるかもしれない。

 

 

richard prince

http://www.phaidon.com/

 

彼の名が世界に広まったのは2005年にオークションにて、たった1枚の写真に
当時としては史上初めて1億円以上の値がついて落札された時だろうと思う。

Richard Princeは、Marcel Duchampによって考案された「レディ・メイド」や
Andy Warholに代表される「ポップ・アート」などを下地とした、雑誌や広告
など私たちの周りに溢れている象徴的なイメージを彼のフィルターを通して
抽出し、それらを再構築する作風のアーティストだ。

 

 

richard prince

http://static01.nyt.com/

 

ファッション、特にラグジュアリーブランドががお好きな方には、まだマーク・
ジェイコブスが手がけていた頃のルイ・ヴィトンとのコラボレーションした
アーティストと言った方がいいだろうか。

 

richard prince

richard prince

 https://hauteman.files.wordpress.com/

 

Louis Vuittonの2008ssコレクションにおいてコラボレーションを果たし、
上述のソニック・ユースの『SONIC NURSE』を想起させるナースコレクション
で話題となった。

 

richard prince

richard prince

L/R) http://jp.louisvuitton.com/

 

彼の作品は冒頭でご紹介した新作『New Portraits』でも物議を醸したように、
私たちの持つ“視点”や“価値”を揺さぶるものであり続ける。

彼の作品はしばしば音楽におけるサンプリングを引き合いに出して語られることも
あるもので、そこには常に著作権問題などの議論を内包されていながら、現代の
大量消費社会への皮肉や人間の潜在的な欲望をあぶりだし、常に時代に問いかけている。

 

richard prince

richard prince

http://static01.nyt.com/

 

新作展示の作品紹介の中でも「(作品中の)プリンスのコメントは、彼こそが原作者で

あることを宣言しています。絵画と写真、イメージとテキスト、著作権と表現の自由
といった概念が融合していくうちに、 これらのポートレイトは作家自身の作品へと
成り変わって行きます」と記されており、価値や常識といった境界線を曖昧にしていく
彼の作品を紹介している。

Richard Prince曰く「写真は死んだんだ。そして、それは僕が撲殺したんだ」
そう吐き捨てた希代のアーティス。

著作権や肖像権の問題は現代アート、特に写真を素材とした作品とは切っても切れない
関係性があるが、Richard Princeの今回の一件を皆さんはどのように受け止めるだろうか。

アート自体もすでに形骸化してしまっているように感じる時代において、何かを創作するという
行為には、それらと向き合う「姿勢」が必要なのだと感じずにはいられない。