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建築家集団「Assemble」
がターナー賞を受賞した
意義とは何か?

現代アートの最高峰と言われる英国の
ターナー賞を受賞した建築家集団に
見る「行為のデザイン」とアート性

現代アートの最高峰と言われる英国のターナー賞を受賞した建築家集団に見る「行為のデザイン」とアート性

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少し前のことになるが、イギリスの権威ある現代アートの受賞者が発表され、
建築家集団の「Assemble」が2015年度のウィナーとなった。

気鋭の現代アーティストに送られる同賞を「建築」が受賞するのは史上初めてであり、
ノミネートの段階から話題にはなっていたが、受賞のニュースは驚きを持って迎えられた。

 

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http://static.independent.co.uk/

 

ターナー賞については、これまでにもダミアン・ハーストやウォルフガング・ティルマンスなどが
受賞するなど、現代アートの枠組みを押し拡げるというスタンスで常に話題となってきたが、
建築家集団、そして受賞の対象となった作品が一つの「建物」ではなく、町の再生という一連の
「プロジェクト」であったということは、アートとは何か?デザインとは何か?ということの
再考のきっかけとして非常に興味深いものであった。

 

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http://www.damienhirst.com/
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http://rickyday.net/

 

今回受賞したアッセンブルは、2010年に設立されたロンドンを拠点に活動している建築設計事務所で、
一般の人々を巻き込み、ワークショップ的な手法を取り入れながら、建築を作り上げている事で知られている。

受賞の対象となったのはリバプールのグランビー通りと呼ばれるスラム街の再生プロジェクト
「グランビーフォーストリーツ」で、ワークショップを通じ、廃材を用いてアッセンブルが
地元民たちと共に創った様々なプロダクトはオンラインでも購入が可能。

 

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http://www.globalconstructionreview.com/
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http://www.indechs.org/

 

そして、それらの利益は地域再生に活用されるということで、従来の建築作品という枠を
大きく越えたプロジェクトとなっている。

彼らの作品や建築に対するアプローチを見ていると、同じイギリスで産業革命期にアーツ・アンド・
クラフトを提唱したウィリアム・モリスまでを想起させる。

こういったニュースが伝えられるたびに、ターナー賞と共にイギリスという国のアートに対しての
懐の深さを改めて感じると共に、自分たちがいかに「領域」に囚われて物事を判断しているのかを
痛感する。

建築家が地域の再生事業に取り組むことは、概して珍しいものではないが、その一連の取り組みを
アートとして昇華し、評価する、またはされるということは少ないだろう。

 

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http://www.indechs.org/
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http://assemblestudio.co.uk/

 

「建築」という領域に限定すれば、フランク・ゲーリーが設計したフォンダシオン・ルイ・ヴィトンも、
ノーマン・フォスター卿がデザインしたアップルの新社屋も素晴らしいかもしれないし、彼らの功績は
称えられるべきであろうが、アッセンブルのような手法で「建築」を実践するクリエイター達が同じように
評価されることは、クリエイションの多様性の観点から見ても非常に意義あることであり、彼らが受賞した
ということが結果的に、上述の現代アーティストの作品が数億という価格で取引されている現代アート界に
対してのアンチテーゼとなっていることも看過できない。

 

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http://www.fondationlouisvuitton.fr/
 
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http://cdn.cstatic.net/
 

いわゆる「デザイン」や「アート」にはそれぞれの本懐があり、それらを同一のものとしては扱えないが、

中間の領域は確かに存在している。昨今では、それらをスペキュラティブ・デザインとして定義し、
問題解決の手段としてのデザインでも、自己表現としてのアートでもない、問題提起するための作品を
見かけることも少なくない。

ファッションとは服をデザインすることだけではないし、建築とは建物をデザインし建てることだけではない。

そして、ビジネス的価値ばかりが重視され多様性が失われているようにも感じる現代において、
アッセンブルのような一連の「行為」を広い意味での「建築」と捉えて実践することの重要性を強く感じるのだ。

 

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http://images.worldarchitecture.org/