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ファッション・アートが
持つ現実を転換する
力とその可能性

義足のアスリートがランウェイを
歩くファッションショーを端緒に
装うことの持つ転換力を探る

義足アスリートがランウェイを歩くファッションショーを端緒にファッションやアートが時として見せる機能を超えた装うことの持つ現実転換力を探る

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先日、日本科学未来館においてシアタープロダクツがあるファッションショーを開催した。

そのファッションショーは義足のファッションショー「リズム・オブ・アスレチックス(Rrythm of athletics)」
というもので、義足製作の第一人者である臼井二美男の義足を着用したアスリートら15人が、
「シアタープロダクツ」と「プーマ」のアイテムを身にまとい、ランウエイを歩くというものだ。

 

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http://i.huffpost.com/

 

シアタープロダクツのデザイナー武内昭はこのファッションショーについて、
「初めて間近で見た義足は、色とりどりだったり、
無機質でテクニカルだったりと、ファッション的にも面白い。

ファッションの関係者にも、義足という新しい身体のフォルムを多くの人に感じてもらいたい」と語り、
スタイリングを手掛けたスタイリストの伏見京子は、
「義足を着けているからこそ持っているリズムがあり、だからこそかわいさが拡張したり、
似合ったりするファッションもある。ショーでは彼らの健康的だけどハイテクで、
より先をいっている身体を感じてほしい」と話した。

 

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http://www.fashionsnap.com/

 

モデルを務めた18歳の小松茉奈実さんは、幼少のころに左の太ももから下を切断した。
それ以降、日常的に義足を着用して生活をしているが、ファッションについて
「中学生のころまでは義足が恥ずかしくてなるべく隠していたけど、
服が好きで高校生になってからはオシャレを楽しみたくて隠すのをやめた。
今は近所だと母と『ローリーズファーム(LOWRYS FARM)』、
友だちとはラフォーレ原宿に行って、買い物をするのがすごく楽しい。
今回もすごくカワイイ服を着られるので、人前でショーに出るのは照れくさいけど、とても楽しみ」
とインタビューで話している。

日本ではこういった取り組みが諸外国に比べて遅い(これは日本の伝統的なコンプレックスを負の要因としてのみ扱い、
それを隠して差異を無くすという思考に起因するところが大きいのではないだろうか)と感じており、
ようやくという感想が実際のところだが、シアタープロダクツとプーマという一般的知名度が高いブランドが
こういったプロジェクトに取り組みを行うことで、周囲に認知され興味を喚起されるという事自体は
非常に良い契機になるのではないかと感じる。

私は、プロダクトとしての義足の美しさに心惹かれるのだが、
それを初めて感じたのは山中俊治氏の義足を目にした時であった。

 

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L) http://lleedd.com/ R)http://kura2.photozou.jp/

 

その義足を目にするまでは、祖父が義足を使用していたこともあり義足は比較的身近であったが、
それ自体にプロダクトとしての美しさなど感じる事はなく、むしろその逆であった。

しかし、山中俊治氏のデザインした義足は失われたものを補完するという義足の本来目的を超えた、
人工物としての美しさがある。この義足からは、攻殻機動隊的なSFを連想するとともに、出来る物なら
身体の一部でも義体化してみたいと思っている私としてはそのような世界が目前にまで迫っていることを
考えると興奮を禁じ得ない。

また、荒川修作氏がファッションについて
「ファッションか?それはいい!俺は障害者のための服をつくりたい。腕がない人がその服を見たら、
俺も腕がなくなりたい!って思うような、そういう服をつくるんだよ」という話をしていたということを思い出し、
純粋にこの義足を着用してみたいと感じている自分がいることに気が付いた。

そして、ファッションからのアプローチとして、忘れてはならないのはアレキサンダーマックイーンによる
義足のデザインだろう。

 

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http://stat.ameba.jp/

1999年に発表されたコレクションにおいてマックイーンは義足のアスリートにして、モデルも務めていた
エミー・マランスをランウェイモデルとして起用し、彼女のために義足をデザインしている。

 

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http://stat.ameba.jp/

 

その義足があまりにも自然で美しいものであったため、コレクション発表後の展示会で目にするまで、
特殊なブーツであると信じていたファッション・エディターもいたそうだ。

 

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L) https://thechannel1024.files.wordpress.com/ R) https://thechannel1024.files.wordpress.com/

 

アレキサンダー・マックイーンによるファッション領域からのアプローチのみならず、
アートからのアプローチとしてはマシュー・バーニー
2002年に発表した『クレマスター3』においてガラスの脚という義足を発表しているが、
身体機能の補助用具の1つである義足も彼らの手にかかるとアートの領域にまで昇華され、
前述の山中俊治氏がデザインしたそれと同じように純粋に着用してみたいという衝動に駆られる。

 

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L) http://peopleactmagazine.fr/ R) http://en.cafa.com.cn/

 

 

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http://hannamawbey.files.wordpress.com/

 

通常、障害をはじめとして人はコンプレックスを隠すことでごまかし、
自分を合理化するが、マックイーンやマシュー・バーニーなどの作品は、
ファッションをはじめとしたデザインやアートには
そうしたコンプレックスすら味方に転換する力があることを示す好例と言えるだろう。

 

先日紹介したサプールなども同様に、ファッションは時としてマイナスとして考えられている現実を
一瞬にしてプラスに転換する力を有している。装うということは、そういった力を有しているのである。
その力と可能性は急速に発展するテクノロジーやマテリアルと融合することで、
既成概念を打ち破る大きな力へと進化できるのではないかと思うとともに、
自分が生きている間にそういった瞬間を見てみたいと願って止まない。