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好奇心の抗えない恣意
パラレルワールドの覗穴

あられもない姿形を覗いて見る穴
羞恥心の覗かれてみる穴

あられもない姿形を覗いて見る穴羞恥心の覗かれてみる穴

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『僕たちは体制を望んでいるのか』

 

いつもどんなところにも明確な答など欲しくはないのだけれど
これは何かに値するのだろうか

 

ありふれた月曜日を吹き飛ばしてくれるような
どこか人形に癒着したシナプスが潜んでいて
何も考えもしないのに手足がきちんと働いている。
それくらいドライに消耗している。
それでいて歩くたびにぽちゃぽちゃの脂肪が揺れていることが
手に取るようによくわかる。
そろそろ摂生しなければならないと話す声が聞こえてきて
昼も夜もなく寝ても醒めてもダイエットを強いられ
無駄な肉を削ぎ落したいと考えはじめる。
だが、無駄とは誰にとってのものなのか理解るだろうか。
省エネルギーで増幅された分量はどこへ向かうのだろうか。
現代のより完全に補完され得るシステムのロストがここにある。

 

 

 

僕は強烈な恣意に渇いている。
順調で惰性な社会に飽和してしまっている人々は
内なるリズムを奥歯で噛み殺しながら
澄ました顔で日常へ溶け入ろうとする。
だがそれでも自らの価値を失おうとはせずに
そこから自分の深度で世界の奥行を見ているものでもある。
ガチガチと噛み砕いた破片が少しずつ蓄積され
一息に薄皮を破り表出する時
それは些細なきっかけなのだと思う。
引き金が引かれようとする瞬間の衝動。
思考の脂肪分として抉り取られた断片が
耐えようのない渇望となって人を呑み込む。
虜になった神経は血が出ていることにまだ気がつかないだけで
股間を膨張させたままテレビを遠くに見ている。
モニターに映るアスファルトのざらつきが傾いて
濡れた地面が斜めに近づいてくる。
舌についた血の味が路面に接触する寸前に頭に浮かんだ。
傷のない少女が羽ばたくフリをして坂を駆け降りる。
ちょうどそれくらいの速度で僕は転がっていた。
薄く開いた穴を見つめながら。

 

穴から伸びる一条の光が額に突き刺さって
僕は恣意に目が醒める気がした。
光の外側にいる時には気がつきもしなかった事々が
今や鮮明に受け止められるようになり
切り取られた空間の境界がはっきりと区別できる。
一方は何も考えもせずに意識もない。
日常は消耗してしまう。
もう一方はその壁の向こう側にある。
ぽっかり開いた穴を凝視しながら。
覗いてみないか-

 

 

薄暗い壁にぼんやりと浮かんだ穴に手招きされる心地よさに
微かにこびりついた理性が緩慢に反応して
ぽっかり空いた頭が脳のカスを貪る。
人の目は一応の拒否をするが瞼の裏側に何者かが蠢いて
最早ここにいられなくなっている。
この衝動こそが光の成端だった。
ひとは導かれる時、なにも間違うものがなくなる。
従う時には何かを止めることがなくなる。
そいつはこれから行われようとしていることや
現にそれを行っている最中にあってさえ、一切なにも見失わない。
1/1000ミリのブレもなくそいつの思うままに、
つまり恣意を汲み上げることができる。

 

 

少しずつ肥大した顔に大量の疑問を磔て見遣る。
その内に覗いた穴から見える光そのものが卑しくなり、
僕は自分の勝手な思い込みで起き上がることになるのだろう。
そうやって繰り返し廻って同じ洞に落ち込む。
だが、人は光の尻にさえも触れることが出来ていない。
穴の感覚は自力で歩みはじめた時に内に入るのだろう。
穴が次から次へと顕われて感覚をすべて錯覚するのである。
飛び込んできたものすべてを光に見て受け止める。
頭の中を仰いで穴を開けてやればいい。
股を開けて受け入れてやればいい。
本当はこれに誰も気がつかない。
ほぼ全員が黙殺して歩き去る。

 

薄い夜に塗れて、つまり、風景の一部と訣別して
影の黒さにピントが少しあってくる。
頭のなかでは警告のビーコンが鳴り響く。
電子音が響くから頭が痛むのか
頭痛のために音が鳴るのかはわからない。

 

 

或る朝、醒めたら青い皿を割ってしまった。
抜ける空の青さが窓の外から入り込んで
木枠ごと反射して消えていた。
なぜそうわかるのかというと、トレーの上で燻っている煙が
こちら側にだけゆっくりたなびいているから。
サイドボードに上がっているのは煙草が1本だった。
それを眺めながら着替えが済んだら散歩しようと思った。
ドーナッツ状の雲がぽかんと口を開いただけの青い空は
それだけでもう役目を果たしたかのように振舞う。
いま、こうしているとそれだけでどの位の時間が経ったのかはわからない。
その朝が日曜日だったのか、水曜日だったのかの区別がない。
葉が1本燃えつきて煙だけが青く上っていった。

 

多分終わったのだろう -多分

 

人々は恐らくファッショを求めている
そうありたいとも願っている。
身を委ねるのは性だとも言い訳する
自分だけは大丈夫だと思わないことや
自分だけは良いと思ってしまうこと
その背中を押すのは僕自身の手であって
偏愛と呼ぶに相応しい形相をしている。
それが恣意によるものなのだろう。

 

 

僕はただ光の方へ歩いている

 

Text by Yuki Kuniyoshi
Photographer : Kohei Harada
Stylist : Daisuke Deguchi
Set Design : Satsuki Oishi
Makeup & Painter : Midori Arai
Hair : Yu-ki Oshiro
Model : Natsumi Sekine

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