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最貧国の伊達男たちが
魅せるファッションの力

自分ルールと独自の感性で築いた流儀
ファッションを愉しむことが至上の命題

環境を変えることが出来なければ自分を変えればいいという信念でファッションを武器にエレガントであろうとするサプールに装うということが持つ根源的力を見た

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世界最貧国のファッションと聞いたとき、あなたは何を想像するだろうか?
安い労働力を見込まれ綿花栽培や縫製工場で働く人々などを想像する人もいるだろう。
または、「ファッション」という言葉とは異なるもののしばしばコレクションブランドの
デザイナーたちにインスピレーションを与える彼らの民族衣装を想像する人もいるだろうか。
そんな考えを一瞬で吹き飛ばしてしまう奴らがコンゴにいる。
彼らはサプールと呼ばれるファッショニスタ達だ。

 

sape

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http://www.themagpieonline.com/
 

サプールとは、コンゴ共和国およびコンゴ民主共和国においてみられるファッションの一種である
サップを愉しむ人のことであり、サップ(SAPE)とはフランス語のSociété des ambianceurs
et des personnes élégantes(日本語では「おしゃれで優雅な紳士協会」などと訳される)の
頭文字をとったものだ。
彼らサプールは一年中気温30度を越す常夏のコンゴにおいて1950年代から1960年代のパリの紳士の様な
衣服を身に纏い、街中を闊歩する。

 

sape

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https://procrastinationoxford.files.wordpress.com/

 

世界中の一流ブランドのスーツに帽子と葉巻やパイプ、ステッキなどの小道具とともに街に繰り出すのだ。
舗装もされていない赤茶けた土の道と、今にも崩れそうな建物を背景としてディオールやアルマーニ、
ゴルチエなどの高級スーツに身を包んだ黒人たちが優雅に佇む姿はあまりのシュールさと想像を超える
クールさに映画の中の世界なのではないかと見紛うばかりの光景であり、目がくらむ。

 

sape

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http://www.afrik.com/

 

個人的に私は黒人が高級ブランドのスーツを着用しているのが純粋に好きだ。
彼らの身体は美しくその身体を高級スーツでラッピングしている像には憧れすら感じる。
時代も場所も、収入も哲学も何もかも異なるがサプールの出で立ちを見たとき、ジョルジオ・アルマーニを
好んで着ていたバスキアを思い出した。
ジョルジオ・アルマーニのスーツを着て絵を描き、スーツのままで寝ていたため絵の具がついてしまい
クタクタになっても気にすることなく、そのスーツを着続けたバスキアはクールだった。

 

sape

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http://nyppagesix.files.wordpress.com/

 

サプールには彼らなりルールがある。コーディネートに3色より多く使ってはいけないという鉄則だ。
(このルールがどのようにして形成されてきたものなのか詳細は分からないが、これはサプールに限らず
ファッションにおいては定石だと思うが、限られた色の組み合わせの中でいかに自らをかっこよく見せるかが
求められるのだが、これによって使用する色は異なっていてもサプールたちの統一感がでるのであろう。

 

sape

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http://culturebox.francetvinfo.fr/

 

しかし、ここである疑問がわく。
彼らが暮らすコンゴという国は内戦が絶えず最貧国の1つに数えられる国である事実を考えるとどのようにして
彼らはそうしたファッションアイテムを購入しているのか。
その答えと理由はシンプルだが奥深い。
サプールたちはそのほとんどが貧しいが、彼らは月収の数か月分する1着のブランドスーツを買うのである。
「武器を捨て、エレガントであれ」という哲学を持って。これほどではないが、食費を削ってでも欲しいモノを
買ったことがある人ならば共感できるのではないだろうか?

 

sape

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http://2.bp.blogspot.com/

 

このようなサップの起源は、1920年代の社会運動家アンドレ・マツワに求められるとの説がある。
マツワはパリからブラザヴィルへと帰国する際に、パリ紳士の正装でブラザヴィルへと降り立ち、
その清潔感あふれる西洋の装いを見たコンゴの人々はそれにあこがれ、そのスタイルに独自の美意識を
ミックスさせ自分たちのスタイルを確立させたという。
独立戦争などで一時的に後退していたサップだが、内戦が沈静化すると再燃し始めた。
そこには、自分たちが生活する環境や現実を変えることは難しいが、自分を変えることは出来るという
信念があるのだ。

 

sape

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http://www.aandhmag.com/

 

自分たちのルールでスタイルを築き、ファッションを愉しむという基本的なことを彼らは教えてくる。
ファッションで世界を変えられるなど思わないが、彼らは自分を変えることで世界を変えようとしている。
その美しい身体と精神を包む服の価値は単純な貨幣価値でははかれないところにあることを考えると
ファッションの持つ可能性をまざまざと見せつけられるような気分になる。
そうだ、書を捨て、スーツを仕立てに行こう。