パンツとファッションを識る | Epokal エポカル

menu

YELLOW 快楽

見ているようで見ていない
異なる視点から指す
ズボンの知識

ジーンズにスラックスにショート?
厭々飽きてしまった毎日に舞い降りる
ズボンという良薬

5minutes

http://www.thesartorialist.com

見ているようで見ていない
異なる視点から指す
ズボンの知識

ジーンズにスラックスにショート?
厭々飽きてしまった毎日に舞い降りる
ズボンという良薬

5minutes

http://www.thesartorialist.com

READ LATER

二本足に詰め込まれた
スペックの応酬
パンツディテール青写真

今日一番のスニーカーと、それからスラックス
僕たちのフィーリングを一着で表現する
ファッションと日常の魔法

ある朝、並木通りのショーウィンドウに反射して還ってくる自分を見る。
ラウンドネックから、ちょうど3センチだけ覗いているシャツに、
センタープレスのよく効いたトラウザースが急いていた。

 

ある夜、油のとっくに落ちた、色もそう長くは持たないジーンズで、今度は朝とは反対方向へ歩いている。
足取りの軽さは世界共通。

 

trousers enough

trousers enough

http://www.maisonmargiela.com

 

そうして、イメージはすべてズボンを中心に巡る。

 

よくよく言われる、ファッションは足元から、ということが街々の敏感な人たちと申し合わせたように、
世界中にかっこいいスニーカー、ブーツが拡がりきった。
キーワードはハイソサエティなカジュアル、日本はいつもやや遅れをとるが、
それでも、特に美しいカラーリングか、ミニマルテイストのシューズの見本マーケットを、
色々なシーンで見ることができる。

 

Epokalにおいても、スニーカーデザインの公共性と併せて、再発見するオリジナリティを幾度か取り上げてきた。
ほんの数年前まで一部のマニアにしか評価され得なかったモデルが続々とリマスターにかけられて、
スニーカー愛好家がモテない時代はとっくに過ぎたことをオールドファンも喜んでもらいたい。
年々高まる熱視線の先にいるシューズデザイナーの存在を感じて、ストーリーを踏み出すのも悪くないのだから。

 

だが今日は、この熱をもう少し見上げたところへ向けよう。

13歳を過ぎたあたりから、事あるごとに、いえ、いつでも、身に着けているものの中で、最も脱ぎたいもの。
それがズボンの正しい立ち位置なのだろう。

 

スニーカーから、視線を上げ始めたので、まずはシュータンと付き合いの長い
裾線にまつわる「こだわり」から、自分スタイルを見つけるのもやさしいことではないだろうか。
基本的に、“何も”言わないファッション難民であれば、裾上げと仰げばファイブポケットで、
縫い代を三つに折り上げてステッチがド定番になる。
ジーンズはその代表格であるが、どちらでもいいことかもしれないので、詳しくない。

 

しかし、数十年前のミシンでしか、ステッチをかけたがらないオールアメリカンな頭脳を抱え込んだ
非凡な才能たちは、当然それ相応の裾上げ工賃を念頭に置いている。
ユニオンスペシャルは、マシンメイドが最後に輝いた時代のレガシーにちがいない。
オリジナルのフルレングスで履ければ、それが最高なのだが、糸一本にまで神経を配って仕上げる加工にも、
その意匠は宿るものである。残念なことに日本文化に正座して暮らす僕たちは、
股下からのインシームがアレなので、特にヘムラインの選択とセンスは、全体のスタイルを左右するといってもいい。

 

trousers enough

trousers enough

http://www.japaneseselvagejeans.com

 

本当のファッションデザイナーとシューシャインには、裾の表情を見るだけで、その人が識るものだと聞く。

つまり、ただ裾をあげるというだけの事で、自分というスタイルを生み出すことが出来るのも
メンズファッションならではのおいしいところになる。
女性服の場合、スカートの裾始末がどうなっているかより、僕たちの興味はその先にあるのだから。

 

ところで、トラウザースという、ズボン界の純血を目にすることは、
今やほとんどないことにファッション好きな人でさえ気がついていないのかもしれない。
この絶滅危惧種に備えられた価値を、平吊りの量販が当たり前の、現代の僕たちに夢見ることはできるのだろうか?

 

手の角度に添えて作られたポケット、ベルトを必要としない、個別にサイジングされたウェストにフック、
インシームやクリーズラインの美しいフォーム…
この辺りが、最も簡単に盗まれようとするデザインである。
折れた傘をそのまま次の雨の日までほうっておいた様な、例えばそれだ。
本当はもっと罰当たりで、奥深い。使おうと思えば使えないこともないのだけれど。

 

当然、ジャケットと同じに誂られるこのズボンは、裏返せば裏返すほど、ポケットを掘れば掘るほど、
面白いスペックが出てくる。前述のウェスト等は、裏側に据えられたベルトによって支えられている。
滑り止めが縫いとめられる場合もあれば、一枚一枚の見返しで腰から臀部を立体的に収めようという機構もある。
オーダーして自分のための一着を誂ようとするのならば、どちらも、手かがりで仕上げられると考えていて良い。
エチケットポケットと呼ばれる小さな収納が、挟み込まれるのもこの裏側のベルトか見返しパートである。

 

trousers enough

trousers enough

http://www.davidreevesbespoke.com

 

ちょうどお腹にあたる前中心部分に、下前と上前とで微妙ないせ加減で丸め込まれた配慮が見られることも多くある。
身体に当たる側の端だけ丸く形作られているのだ。
これも、俗っぽいデザインが好きなディテールで、よく“上前”側に見られる。

 

同時に、この前中心部分というのはは多くのパートが密集してくる厄介なところでもある。
ポケットの袋布の端処理や前端のフェイシング、ライニングベルトの始末、それから持ち出しと、
一刻もはやくズボンを下ろしたい僕たちにも拘らず、ガチャガチャとなってしまいやすい条件が整ってしまった。
ここをいかにしなやかに処理するのかで、そのズボンの履き心地、つまり、価値が決まってくる。
要は布が大渋滞した中でいかに気持ちよくフィットさせるのかという点に集約される。
つまり、手作業ほどにやわらかく仕上げることは不可能なのである。

あとは、前開きをファスナーにするのか、ボタンフライの比翼にするのかという問題が残される。
確実にかっこいいのは比翼だが、ファスナーは誰よりもさっと、すばやく取り出すことができる。

 

trousers enough

trousers enough

http://www.gievesandhawkes.com

 

トラウザースを担ぎ上げた容になっているみたいだけれど、
実はジーンズにもこうした見返しやライニングベルトを構成される場合がある。
適切な処理をすれば、衣服は一人立ちして価値を見出せるのだと思う。

 

trousers enough

trousers enough

http://www.viktor-rolf.com

 

言ってみると、これに従うこと、ボトムスを選ぶ時のフィーリングをいくつ持っているかによって、
全体の印象を遊ぶことができる高みにまた一歩、進むことができた。
カシミアのスリーピーススーツにスニーカーをスタイリングすることが、受け入れられた今日となっては、
それをどう見せたいのか=コンセプチュアルなストーリーテーマと直結した、
自分の姿勢に還ってくるものではないだろうか。

 

trousers enough

trousers enough

http://www.rafsimons.com

 

こうしたフィーリングを一着で表現できるのは、ズボンというアイテムの魔法にも思える。
これに傾倒することで、限りない奥行きを考えてみたくなるのではないだろうか?

 

trousers enough

trousers enough

https://www.rickowens.eu
READ LATER

EDITORS UTOPIAの「WANT」ボタンを
押したプロジェクトが表示されます。

EDITORS UTOPIAへ

※この情報はCookieで保存されています。
※SNS連携・記事のシェア等はされません。

    「READ LATER」ボタンを
    押した記事が表示されます。

    ※この情報はCookieで保存されています。
    ※SNS連携・記事のシェア等はされません。