旅のための本からつなげる冒険 | Epokal エポカル

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YELLOW 快楽

旅の本を棄てるとき
成功をはじめ
失敗をはじめる

文字の中を旅するための本と
旅へ出かけるための本。
そして『ぼうけんのしょ』を棄てる。

9minutes

旅の本を棄てるとき
成功をはじめ
失敗をはじめる

文字の中を旅するための本と
旅へ出かけるための本。
そして『ぼうけんのしょ』を棄てる。

9minutes

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本にのこる心
旅する身体
精神を歩く路

本を読んで理解する冒険。
それでもわからないことが出でて旅になる。
本からはじめる旅の話し。

社会生活の中で当たり前になってしまった物事のための慢性的で、
そして緩慢な暮し方を拭い去る方法はひとつしかないのかもしれません。
僕たちは自分の体で他を感じることが必要なのであり、
荒々しい『ぼうけんのしょ』の本に埋め込まれた意思を見つめることで、旅を読むことで、

自分の大きさを垣間見ることができるのです。

そうして、本の中で見かけた「旅」の風景を今度は自分の眼を使って見てみたいと望むようになるのでしょう。

 

 

TROUT FISHING IN AMERICA / アメリカの鱒釣り

Richard Brautigan

journey through the future

journey through the future

 

「もうたくさんだ。
 釣りをはじめて はや七年
 一度も鱒を釣りあげていない。
 針にかかった鱒は残らずとり逃がした。
 やつらは ジャンプで逃げる
 身を捻って 逃げる。
 あるいは のたうち
 あるいは はりすを切り
 あるいは ばたついて
 畜生! 逃げやがる。
 小生 かつて ただの一度も 鱒に触れたことさえ ないのだ。
 全くもって 口惜しいが
 完敗実験ということで 考えれば
 なかなか興味深い例ではないか。
 だが 来年は 誰か別の者が
 鱒釣りに行かねばならぬ。
 わたしではない誰かが
 でかけて行くことになるのである。」

 

その通り、出かけなくてはならない。

およそ、何かを勝ちとるためだけが旅ではないでしょう。
失敗や敗退が与えてくれる旅というものもあるのです。
そこから学ぶことも、もちろん意味があり、そして何も持たないということも、またあり得る話しなのです。

 

たった一つの失敗が僕たちから大切なものを奪い去る可能性を持っています。
それどころか、たったの一つでさえない、何の失敗もしないことから失うことだってあります。
そうして積み重ねた体感が大切な何かを守ってくれることも、またあり得るのでしょう。

 

 

Between a Rock and a Hard Place / 127時間

Aron Ralston

journey through the future

journey through the future

 

金曜の夜の路上、雄大で幻想的で、そして人の影のない
キャニオンランズナショナルパークに向う一台のピックアップトラックが走っています。
長い長い年月の間に、岩と岩との割れ目に水が浸食して作られたスロットキャニオンへ、
行き先を誰にも告げず、たったの一人で出かけた『Aron Ralston』はキャニオニングの最中に滑落してしまいます。
その事故の一部始終はほんの一瞬であって、ほとんど何も描かれません。
というのも、作者Aron Ralstonにとって何が起きたのかさえわからなかったのでしょう。

けれどストーリーはここからはじめられます。事故の発端である一つの岩がAron Ralstonと供に落下していて、
それも彼の右腕を峡谷に完全に挟み込んでしまいます。
大声で助けを呼んでも辺りに人は誰もいない、身動きのとれないまま時間だけが少しずつ、ほんの少しずつ進むのです。
「死」というものに正対したAron Ralstonは、
孤独の状態へと向うことを運命づけられた自分の人生のことを見つめだしはじめるのです。

 

journey through the future

journey through the future

http://www.telegraph.co.uk

 

生と死という日常生活ではすぐ隣りに感じることのない霊感は、
本当の静寂に包まれた真っ暗な夜に足元に忍び寄ってきます。
大都会にあっても、外の世界に身体をおいていても、そんな夜はあるものです。
毎朝、同じ時間に‘僕’の頭上で旋回するカラスが死を待っていて、
一日に15分間だけ訪れる太陽の光は生を待ち望んでいるのです。
旅は動くことがすべてではありません。
Aron Ralstonが呼んだエクスタシーは、いつでも旅する人の傍にあるように、
そして本当の話し、誰も死に負けたくはないのでしょう。

 

 

垂直の記憶:岩と雪の7章

山野井泰史

journey through the future

journey through the future

 

そこで、登山家『山野井泰史』の記憶。

 

「登山家は、山で死んではいけないような風潮があるが、
 山で死んでもよい人間もいる。
 そのうちの一人が、多分、僕だと思う。
 これは、僕に許された最高の贅沢かもしれない。」

 

今、生きているここと向こう側という領域があるのだとしたら、
山野井さんはそのリッジにフワリと腰掛けているような、
そんな限界の境界を攀る人なのではないでしょうか。
彼ほど生と死と正対したクライマーはほとんどいないとも言えるのかもしれません。
もし、絶対に登頂できると分かっている山があるとしたら、山野井さんは登らないと言います。
それでは、もしかしたら死ぬかもしれないから、登るのでしょうか。

 

journey through the future

journey through the future

http://number.bunshun.jp

 

 

僕たちが生きていく途上ではたくさんのことが起こります。
そのなかの最良の時間は、誰かと共有することで本当の価値を持つことになるのです。
ある意味で、旅に出ることで体得した甘い思い出は、いつまでも身体の中にくすぶり続けるでしょう。
そんな時間の記憶を取り出したり、しまい込んだりしながら生きていくのです。

それはたのしくて、うれしくて、かなしくて、つらいことがあって、

それがあるから 自分の生を実感することが出来るのです。

 

Wild : From Lost to Found on the Pacific Crest Trail / わたしに会うまでの1600キロ

Cheryl Strayed

journey through the future

 

アメリカ西海岸を南北に縦走する数千マイルもある長距離トレイル『Pacific Crest Trail』を歩こうと決意する時、
旅は精神世界の凝縮された行為であり、荒野の体験は、
それさえ何も感じられないほど落ち込んだ人生を救い出してもくれるのです。
衝動的にバックパックを背負った『Cheryl Strayed』は3ヶ月間のスルーハイキングを通して、
自分の生へと歩いて向かいだしていたのです。

 

 

The New Complete Walker / 遊歩大全

Colin Fletcher

journey through the future

journey through the future

 

序章「なぜ歩くのか?」より

「今はもう、世界、あるいは自然というものが人間のためだけに作られているのだなどという
 愚かな考えからは、はるかに遠いところに自分を置いているのだ。
 そして感性まで…世界としての、あるいは全体としての実体が旅の記憶の中に浮かびあがってくる。
 そうしたシンプルな世界から複雑な下界、すなわち壁に囲まれた人間社会なるところへ舞い戻ってくると、
 しばらくの間、この複雑さの背後にある意義を探り出そうと熱心に思考する。」

 

すばらしきウィルダネスの経験から都会生活へと戻った『Colin Fletcher』が、
新しい意義を見つけ出そうと意欲をみなぎらせるのは‘しばらくの間’、ほんのしばらくの間だけのことであって、
騒音とほこりに胸がむかつくようになる頃には都会の気違いじみたからまわりの日々が再び耐え難い、
味気ないものに逆戻りすることになるのでしょう。人はこうして、シンプルな日々へと帰っていくのです。

 

「そうして自然と自分との完全なる調和の中で時を過ごし、
 やがて再び意義を求めて都会へ戻るというパターンが展開され、確立されることになる。」

 

なにもしないでコトが過ぎるのを待つことと、いつでも出発できるように・気構え・待つこととは、まったく違います。
それは本を読むという静の行為であると同時に、精神の動的な捕食活動の様に、違います。

つまりそれは、なにが「リアル」なのか、水をカップに汲むように一瞬の間だけの意義なのではないでしょうか。

 

多忙すぎる日常から自分の姿を取り戻すために、旅に出る人も多いでしょう。
そのかたちは人の数だけ様々なかたちがあり、今すぐにドアの外へ飛び出すことが出来るのであれば最高ですが、
束の間の人生の中で、コトはいつでも思うようにはいかないということも現代に生きる僕たちの悪癖です。
それでも、日常の世界から離れて外部からの体験に身体を曝すことを求める
心地はいつでもその場所へつながっているのではないかと思っています。

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