TAMIYAスケールモデルを作って見える英雄の現実 | Epokal エポカル

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自由な人が不自由に嗤い
水爆されるシニカル
スケールモデルの世界

TAMIYAが示す深海の激戦。
プラモデルで知る現実の世界と
1/1で見る人の入り込めない領域。

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スケールモデルの世界

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深みに嵌まる
プラモデルとリアル

世界大戦の英雄母艦サラトガ。
自由を救済するために戦った母の、
スケールを超える本当の姿

幾歳になっても棄ててやらないと決めていたものがある。

ガンダムやミニ四駆といったところから始まって、スパーマシンや航空機、重戦車や艦隊にまで到達し、
男性にとってかけがえのない思いがつめこまれるもの、それがプラスチックモデルである。
何時間もかけて教科書で教わる世界史は少しも頭に残らないのに、
スケールモデルの説明書の端に書かれたモデル概要は鮮やかな色で脳裡に焼きついた。
TAMIYAやフジミ、ハセガワは、どの教本のタイトルより強烈に僕たちの目線であり続けた。

 

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http://www.tamiya.com/japan/index.htm
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http://www.tamiya.com/japan/index.htm
 

模型を作ることはそのモデルを作るための細部を見ることであり、
さらにその細部に到るまでのプロセスを追うことでもある。
物が溢れる世の中にあって見落としがちな物事の奥行きを見て識ることができて、
そして見識ることができたものこそが僕たちの脳内に取り込まれる‘僕がやった’積極的な行為であり、
つまり与えられて得た記憶がどうやっても届かない領域がそこにある。

 

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http://www.tamiya.com/japan/index.htm
 

ただ、どれだけやりたいと望んだこともそれをやると決めた時から、
やらなくてはいけない存在になってしまう可能性をも含んでいる。
超敗戦国として叩き込まれた文化のなかでみっちりと教育を詰め込まれた日本では、
豊かで優秀な社会にするためだと信じ込んで、一人一人に教育と能力を手取り足取り与えてきた。
‘成長を’ではなく型に填められたある程度のレベルの人間として手っ取り早く鍛え上げられてきたのではないだろうか。

 

本当に必要なことは話されない。本当に知りたいこともそのままにしておかれることが多いし、
本当は興味を引かれることが隠れたままでいることも多い。
今、知らなくてはいけないことから隔離されることほど虚しいライフはない。

 

もしも今、僕が持っている知識が与えられたものだったとしたら、

もし今の自分が予め決められていた枠に填められた鋳型通りのものだったら-

子供の頃、隣の席の様子を横目で見てはいなかっただろうか。

昨日のミーティングで頭打ちにならないように、用もない頭を下げてしまわなかっただろうか。

よその様子を伺う。ではなく、

僕たちは眼を開かなくてはならない。

 

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http://www.hasegawa-model.co.jp
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http://www.aoshima-bk.co.jp
 

昔昔、子供の日に作ったプラモデル-航空隊、重戦車、太平洋艦隊の轟々とする艦爆を見ながら
その搭乗員を、兵士の一人ひとりを、人を無意識的に遠くへやり、平気な態度で夢のなかをさまよう。
大人と呼ばれるようになってから感動する心を実感することはなかなかないのかもしれない。
ただ、スケールという規律で作り上げた世界が見せてくれたのは知識を体験するという原初だったに違いないのだから、
あの日、感じられた未知なる世界は、本当は今でもまだわからないままそこに在ることを、
ここでもう一度知っておかなくてはならないのではないか。

 

1942年、民主世界のために日本の前に立ちはだかった米海軍航空母艦隊。
史上初の空母対空母の海戦から生還した『サラトガ USS SARATOGA,CV-3』は、
自由社会のために最も貢献し、身を尽くした歴雄の一つである。
何万もの兵士を守り、何万もの‘敵’を打ち破った英雄艦の終焉を飾るものも爆音と灼熱、硝煙の蹂躙だった。
従軍星章8個の英雄にとって相応しい最期であったのかはわからない。

 

ミッドウェーでラバウルで硫黄島で戦い延びたサラトガの最終幕は自艦から発した雷撃機で敵を墜としたものではない。
敵機に艦爆されたわけでもない。愛しの英雄サラトガは水爆実験のターゲット艦として戦わずに沈んだ。

 

『1946 Operation Crossroads –BAKER』

1946年、今や時代遅れの水爆実験『クロスロード』で標的艦にされるサラトガ

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自由な世界のために戦ったはずのサラトガに待っていた運命は人類のあまりに身勝手で傲慢な歯牙ではなかったか。
かつての日本を駆逐し、世界に民衆の自立をもたらせた『シスター・サラ』の裸体は鉄の塊でしかなかった。

 

そうして、忌々しい水爆実験から70年が経った今、
ビキニ環礁の海底に眠るサラの姿を僕たちはたくさんの畏怖をもって受け止めなければならない。

 

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熾烈で過酷な時代を戦い抜いた人々が勝ち取った現在。
自由主義社会という物質文化に溺れた曖昧な不自由さを目の当たりにしたとしたら、
彼の兵士たちはどう思うのだろうか。

こんなもののために死んだわけではない。
サラトガの現在の姿は痛烈な皮肉であり、同時に胸のすく思いさえしてしまう。

 

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